抗がん剤の副作用対策

乳がんの抗がん剤治療の副作用にはさまざまな症状があり、その程度には個人差がとても大きいことが知られています。

 

しかし現在は副作用の症状を抑える良い薬もでてきています。対策を万全にすることで、抗がん剤治療中であっても仕事を続けられたり日常生活を支障なく過ごすことも可能となっています。

 

ここでは、抗がん剤の副作用の症状別の対策と、副作用対策のための便利ツールをご紹介します。​

1.抗がん剤の副作用はなぜ起こるのか

がん細胞には、細胞が異常に分裂して増殖する性質がありますが、抗がん剤は分裂スピードが速い正常な細胞もがん細胞と認識して攻撃します。そのため、分裂スピードの速い毛母細胞、生殖細胞、爪、粘膜、舌、骨髄などに副作用が起こります。

 

抗がん剤の副作用は薬剤によっても異なり、また個人によっても程度や出現する時期に差が大きく出ます。ほとんど副作用が出ずに日常生活を支障なく過ごす方もいれば、辛い副作用に悩まされる方もいます。

この差は、予防をどれだけ丁寧に行うかも影響してきます。治療中のQOLを保つためにも、抗がん剤治療をすることが決まったら、万全の対策を行いましょう。

 

2.副作用を乗り越えるための3つのポイント

■とにかく冷やす

副作用を起こしたくないところを局所的に冷やすことで、血行を悪くして細胞の分裂スピードを遅くする、抗がん剤を末端まで届かせないことが目的です。

■副作用を記録する

抗がん剤は数週間おきに数回繰り返して投与されます。抗がん剤の投与日から何日後にどのような症状がでたか記録することによって次のクールの副作用が予測しやすくなります。

■我慢せずに体を休める

辛い症状は永遠に続くのではなく、必ず回復します。「辛いのは今だけ」と割り切り、仕事や家事はがんばり過ぎないように。薬もうまく利用しましょう。

 

3.副作用の症状別の対策

ここでは代表的な副作用の症状と対策について紹介します。なお、これらの症状は全員に必ず出るものではなく、人によって程度・出現の時期には差があります。

■脱毛

どんな症状?

個人差の大きい副作用の中で、すべての人にほぼ確実に出現するのが脱毛です。頭髪・眉毛・まつ毛だけでなく全身の体毛も抜けます。一般に初回の抗がん剤投与から2週間後ぐらいから抜け始め、すべての投与が終了した1ヶ月後ぐらいから生え始めます。ウィッグの着用期間は平均して1年ほどの方が多いようです。

 

対策

抗がん剤投与時に頭部を冷やすアイスキャップが欧米では普及していますが、日本で実施している施設はまだ少ないようです。保冷材を手持ちの帽子につけた手製のアイスキャップを持参する方も。この期間はウィッグでおしゃれに楽しんでしまいましょう。眉毛やまつ毛はメイクでカバーできます。詳しくはウィッグ&ネイルを楽しむのページをご覧ください。

また脱毛期間の頭皮ケアについてはこちらのページでも詳しく解説しています。

脱毛前の準備と脱毛中のヘアケア術

​■爪の変色・変形

どんな症状?

黒ずみ、巻き爪、炎症、割れやすくなる、はがれやすくなる、などが手・足両方の爪でおこります。指先はよく使うので、症状が強くでると仕事や日常生活に支障が出てしまいます。

 

対策

抗がん剤投与中、爪先を冷やします。最近では、アイスグローブ・アイスブーツを用意している施設も増えてきました。ビニール袋に保冷剤を入れて手作りすることもできます。爪は短くても長すぎてもよくありません。丸く整えて、常に清潔に保ち、その後は保湿を。手袋や5本指靴下も利用しましょう。もし黒ずみや爪が割れてしまったら、ネイルチップやマニキュアでカバーできます。詳しくはウィッグ&ネイルを楽しむのページをご覧ください。

​■味覚障害

どんな症状?

抗がん剤によって口腔内の粘膜や舌の神経がダメージを受けて起こります。6割ぐらいの人に症状がでるとされています。味がまったくしない、水を飲んでも苦い、甘みや酸味がわからない、といったことが起こりますが、治療終了後に自然に回復するケースが多いようです。

 

対策

抗がん剤投与中に氷を舐めている方がいらっしゃいます。うがい・歯磨き・舌磨きで口腔内をいつもよりも清潔に保ちましょう。味覚障害が起きてしまった場合、どの味覚だと食べられるかは人によって異なるので、まずは食べられるものを探す!いろいろ試してみてください。酸味が保てている場合は、水にレモンをたらすと苦味が和らぎます。またこの期間、家族の食事を作るのも難しいですよね。外食や、出来合いのお惣菜、合わせ調味料などを利用してしまいましょう。

​■口腔内のトラブル

どんな症状?

抗がん剤によって4割の方が口腔内のトラブルを経験します。口内炎、歯の感染症、口腔内が乾く、などが起きます。虫歯や親知らずがある場合、急に痛み始めることも。

 

対策

抗がん剤治療を始める前に、医師から歯医者に行くように指示されることが多いと思います。虫歯などのトラブルが起きた場合、投与のスケジュールを変更しなくてはならないときもありますので、必ず歯医者に行き、歯垢の除去や口腔内のチェックをしてもらいましょう。その際、これから抗がん剤治療を始めることを伝えてください。地域のがん診療拠点病院などと連携を結んでいる「がん連携歯科医院」ですと安心ですね。この時期はうがい・歯磨きなどで口腔内を清潔に保ち、保湿することも大切です。

 

全国のがん連携歯科医院リスト

国立がん研究センターがん対策情報センター

​■吐き気・嘔吐

どんな症状?

抗がん剤の副作用といえば、吐き気・嘔吐をイメージされる方も多いのでは?今は良い吐き気止めの薬もあるので、ひどい嘔吐を経験する方は少なくなりました。

 

対策

吐き気や嘔吐の症状が強くでる抗がん剤の場合、抗がん剤と一緒に吐き気止めも投与され、また自宅用に内服の吐き気止めも処方されます。それでも吐き気が続く場合は、早めに医師に相談しましょう。抗がん剤投与中はにおいに敏感になるため、このにおいで吐き気をもよおすことや、抗がん剤への不安感から嘔吐してしまうことも。体調は必ず戻ってきますから、体を休めて、消化の良い食べられるものを食べるようにしましょう。

​■手足のしびれ

どんな症状?

抗がん剤によって末梢神経がダメージをうけて手足の指先や足の裏などに起こります。治療終了後、個人差はありますが6〜30ヶ月以上持続すると言われています。毒性が蓄積され、投与の回数が増えるごとに症状が増強していきます。

 

対策

抗がん剤投与時に着圧ソックスを履いている方もいらっしゃいます。しびれが起きてしまった場合は、感覚が鈍っているので、やけど、凍傷、外傷などに気をつけましょう。マッサージやぬるま湯のお風呂にゆっくり入るなど、血行を良くすることも症状を改善することに有効です。

■下痢・便秘

どんな症状?

抗がん剤によって胃腸の粘膜がダメージをうけて起こるほか、吐き気止めの薬の副作用で便秘が起こる場合があります。

 

対策

便秘はなってからではなく、なる前から対処するのがポイント。医師から便秘薬を処方されている場合は早めに便秘薬を飲む、水をたくさん飲む、繊維質の多い食事を摂るなどを心がけましょう。下痢の場合は、水分を大目にとり、消化のよい、無理なく食べられるものを食べるように。いずれも、症状がひどくなる前に早めに医師に相談しましょう。

​■白血球の減少

どんな症状?

抗がん剤により骨髄がダメージを受け、治療数日後から1~2週間後に白血球が少なくなり、3~4週間後に回復します。白血球が少なくなると免疫力が低下するので、細菌やウイルスに感染しやすくなります。また白血球の一種である好中球が減少した場合、スケジュール通り抗がん剤の投与ができなくなる場合もあります。

 

対策

白血球が減少している時期は感染症にかかりやすくなっているので、人ごみの中の外出を避け、うがい・手洗いをこまめに行いましょう。好中球が減少した場合は、薬剤で回復させることもあります。

 
 
 
 
 
 
 
 
 

4.副作用対策のための便利ツール

抗がん剤が投与される時は、吐き気などの副作用を抑える薬剤も一緒に投与されます。そのため、抗がん剤が投与された当日から数日はいつもよりも体調がよく、元気に感じる方もいらっしゃいます。その後に体調が変化される方もいらっしゃいますが、どんな症状がどの程度・いつ頃でるかは、個人差が大きいため予測が難しいものです。

 

しかし、抗がん剤は複数回繰り返して投与されますから、初回の投与の体調の変化から次回投与後の体調を予測することができます。たとえば、〇日目に体調が悪くなることがわかっていれば、仕事や外出などの予定も立てやすくなります。

 

つまり抗がん剤による体調の変化をきちんと記録することが、副作用を上手に乗り越えるためにとても大切となるのです。

乳がん治療を記録するのにおすすめなのがBC Noteです。このノートには抗がん剤治療中の体調を記録できるページが3か月分ついているほか、検査結果を記載できるページや、仕事との両立に役立つto do リストを書き込むページもあります。

BC Noteを活用して、抗がん剤による副作用を上手に乗り越えてくださいね。

BC Noteはこちらのページでご案内しています。

 

乳がん治療を記録する! BC Note

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